肺がんの5年生存率を2025年までに2倍にすることを目標に、ラングアンビションアライアンスが発足

科学のイノベーションと社会の変革に重点を置いた連携により、将来的に肺がんによる死亡の根絶を目指す


ロンドン発 , July 09, 2019 (GLOBE NEWSWIRE) -- 国際肺癌学会 (International Association for the Study of Lung Cancer、IASLC)、ガーダントヘルス (Guardant Health)、国際肺癌連盟 (Global Lung Cancer Coalition、GLCC)、アストラゼネカ (AstraZeneca) は本日、肺がんによる死を根絶するという大きな志を掲げ、新たなパートナーシップであるラングアンビションアライアンス (Lung Ambition Alliance) の発足を発表した。同パートナーシップの最初の目標は、2025年までに肺癌患者の5年生存率を2倍にすることだ。

肺がんにより、18秒に1人が命を落としている1。肺がんによる死者は、2018年だけでおよそ180万人に上り1、患者の40%は、がんが肺から転移した後、または予後が悪化した後に診断を受けている2。現在のところ、診断から5年後に生存している肺がん患者の割合はたったの5分の1だ3

GLCC長官のジェスム・フォックス (Jesme Fox) は次のように述べている。「ラングアンビションアライアンスは、肺がん医療における極めて重要な時期に設立されました。科学の進歩により、肺がんの診断、治療、管理に変革をもたらす新たな可能性が切り拓かれていますが、医療の改善と前進を阻む障壁は依然として存在しています。肺がんコミュニティの一員として、危機感をもって協力し合い、患者にとって最良の方策を提唱、発展させる責任が私たちにはあるのです」

同アライアンスは、研究教育 (IASLC)、診断法 (ガーダントヘルス)、患者支援 (GLCC)、医薬品の研究開発 (アストラゼネカ)など、それぞれの有する広範な専門分野で互いを補い合っている。

共同設立者が掲げる3つの優先事項は、スクリーニングおよび早期診断の増加、革新的な医療の提供、肺がん患者に対する医療の質の向上である。同アライアンスが最初に推進するのは次のプロジェクトである。

  1. 早期肺画像診断連盟 (The Early Lung Imaging Confederation、ELIC) は、早期段階の肺がんの集学的発見および管理の向上を促進するために設計された、クラウドベースの世界的な新しいスクリーニングデータベースである。このプロジェクトは、CTスクリーニングによって死亡率を下げられることを示す数々のエビデンスに基づいている4。収集された画像およびデータは、より優れたリスクモデルおよび分析・発見ツールの確立のために利用されるとともに、データ品質の国際基準としての役割も果たす。将来的には、人工知能 (AI) を活用し、CTスクリーニングによる臨床判断サポートの信頼性の向上を目指す。このプロジェクトは、2018年後半にIASLC主導で試験的に実施されたが、同アライアンスは、プロジェクトのための画像バンクの構築や、各治療段階での患者の予後評価支援を行う。

IASLC会長のジョルジオ・スカグリオッティ (Giorgio Scagliotti) は次のように述べている。「肺がんをはじめとする胸部の悪性腫瘍を早期に発見し、診断するためには、効果的なスクリーニングが重要です。これにより、治療の選択肢の幅が広がり、生存率を高めることができますが、いくつかの理由により、スクリーニングは世界中で十分に普及していません。ELICのような量的画像診断法を適用することで、肺がんのスクリーニングの精度と効率が向上する可能性があります。私たちのプラットフォームは、新たな知識を得たいと考えている肺がんの研究者や医療チームにとって重要なグローバルリソースとなるでしょう。ラングアンビションアライアンスは、データカタログを飛躍的に拡大するために必要な専門性、高度な知識、リソースを提供します」

  1. 主要病的反応プロジェクト (The Major Pathologic Response Project) では、代用エンドポイントの検証および効果予測バイオマーカーの特定に利用でき、腫瘍特徴の標的設定の改善につながり得る臨床試験データや研究結果を収集する。これは、次世代の標的治療の開発を促進することと、根治の可能性が高い場合に早期医療介入への移行を推進することを目的としている5。同アライアンスは、協力団体や製薬業界からの試験データの収集を支援し、重要な試験データの検討の際に世界中の医療機関で利用できるようにする。

ガーダントヘルスの社長兼最高執行責任者、アミルアリ・タラサズ (AmirAli Talasaz) は次のように述べている。「プレシジョン・メディシンによって、一部の肺がん患者の予後と臨床転帰が改善しています。プレシジョン・メディシンのアプローチは、肺がんの早期段階や再発の発見直後に利用するのがより効果的であると私たちは考えています。主要病的反応プロジェクトは、根治の可能性がある治療オプションの開発を後押しするため、臨床試験と新たな診断アプローチ (血液サンプル内を循環する腫瘍DNAの検出など) 開発を早めるために使用できる代用エンドポイントを特定することで、予後の悪い患者の特定、治療反応の定期的評価の実現、がん寛解の継続監視の促進につなげていきます」

  1. 肺がん医療イニシアティブ (Initiatives in Lung Cancer Care、ILC2) は、2019年後半の発足を目指しているオープンコールプロジェクトであり、世界中の地方患者団体を集め、地方レベルでの患者治療の変革と生存率の向上を実現するための試験プロジェクトの開発と提案を推進している。これは、地方の肺がんコミュニティによる集学的ベストプラクティスの活用、治療オプションに関する患者教育、治療中および治療後の患者のQOLサポートを支援することを目的としている。ラングアンビションアライアンスの委員会において、資金提供基準に適合する提案を評価、選定する。

アストラゼネカの副社長兼グローバルフランチャイズ責任者 (腫瘍ドライバー・耐性メカニズム担当)、パトリック・コナー (Patrick Connor) は次のように述べている。「肺がんは個人差の大きい病気であり、世界中で治療アプローチが大きく異なる場合があります。目標生存率を達成するためには、国レベルでの障壁を取り除いて、スクリーニングや早期診断を促進するイニシアティブを推進するとともに、革新的な医薬品の開発を支援し、医療の質を向上させる必要があります。広範なグローバルネットワークを有し、肺がんに関する専門領域を補い合えるパートナー同士が協力することで、患者が直面している問題により効果的に対処できると考えています」

同アライアンスは、優先的に解決する必要のある地方の障壁を特定するためのイプソス・モリ (Ipsos MORI) による国際調査に出資する。調査結果は2019年秋に報告される予定であり、ラングアンビションアライアンスの優先事項を精査し、具体化するために利用される。同調査に関する情報や、コミュニティの意見共有方法については、ラングアンビションアライアンスに掲載されている。 

ラングアンビションアライアンスについて

ラングアンビションアライアンスは、肺がんによる死亡を根絶すべく、複数の主要組織によって結成されたパートナーシップである。その目的は、各パートナーの専門知識を増幅させ、目標を達成できる見込みのある有意義なプロジェクトに優先的に取り組むことで、進歩を促し、肺がん患者にとって有益な変革を起こすことである。共同設立者である国際肺癌学会 (International Association for the Study of Lung Cancer、IASLC)、ガーダントヘルス (Guardant Health)、国際肺癌連盟 (Global Lung Cancer Coalition、GLCC)、アストラゼネカ (AstraZeneca) は、スクリーニングおよび早期診断、革新的な医薬品の開発、質の良い医療の提供を阻む障壁の特定と克服に取り組み、まずは2025年までに肺がんの5年生存率を2倍にすることを目標に、肺がん医療の将来に向けた意欲的なビジョンを推進する。

詳しくは、www.lungambitionalliance.orgを閲覧されたい。

共同設立者について  

  • 国際肺癌学会 (International Association for the Study of Lung Cancer、IASLC) は、肺がんをはじめとする胸部悪性腫瘍の研究を専門とする唯一の国際機関である。100か国以上、6,500名を超える肺がん専門家からなるグローバルネットワークを有し、肺がんに関するあらゆる領域をカバーしている。

  • 国際肺癌連盟 (Global Lung Cancer Coalition、GLCC) は、肺がん患者の国際団体であり、患者の支援・権利保護に取り組んでいる。
     
  • ガーダントヘルス (Guardant Health) は、革新的な診断法の開発企業であり、血液の分子情報を利用することでがんの早期発見を目指している。

  • アストラゼネカ (AstraZeneca) は、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に医薬品の発見、開発、商品化に取り組んでいる。 

問い合わせ先:

ジェニファー・コリガン (Jennifer Corrigan)
BursonRx
Jennifer.Corrigan@bursonrx.com
+1-347-366-1444

エマ・バロウ (Emma Barrow)
GCIヘルス (GCI Health)
Emma.Barrow@gcihealth.com 
+44-207-300-6114

肺がん患者のために進歩を促進する。

参考文献
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1 世界保健機関、国際がん研究機関、ファクトシート – 肺がん。http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdfにて閲覧可能。2019年5月時点
2 EpiCast Report: NSCLC Epidemiology Forecast to 2025 (EpiCastレポート:NSCLCに関する2025年までの見通し)、グローバルデータ、2016年。
3 Cancer.Net、肺がん - 非小細胞 - 統計。www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/statisticsにて閲覧可能。2019年5月時点。
4 IASLC、IASLC Successfully Pilots Early Lung Imaging Confederation Project (IASLC、早期肺画像診断連盟プロジェクトの試験実施に成功)。https://www.iaslc.org/news/iaslc-successfully-pilots-early-lung-imaging-confederation-project-0にて閲覧可能。2019年5月時点。
5 IASLC、IASLC病理委員会。https://www.iaslc.org/research-education/iaslc-pathology-committeeにて閲覧可能。2019年5月時点