ヘリオス (Healios) とアサーシス (Athersys)、マルチステム (MultiStem®) 療法を使った 脳卒中治療において再生医療のパートナーシップを結ぶ

同提携では、日本の新しい規制枠組みを利用して 脳卒中やその他の適応症に対する再生医療製品の 開発・商業化に着目


米国クリーブランド、東京, Jan. 13, 2016 (GLOBE NEWSWIRE) -- 株式会社ヘリオス (Healios K.K.、以下「ヘリオス」、東京株式取引所4593) とアサーシス社 (Athersys, Inc.、以下「アサーシス」) (NASDAQ:ATHX) は、虚血性脳卒中及びその他の適応症の治療のために、日本においてマルチステム (MultiStem®) を含む画期的な細胞療法の開発と商業化を目指すパートナーシップとライセンス契約を結んだことを発表した。このパートナーシップは、アサーシスが開発中の同社独自の特許取得済みの「既製」の幹細胞療法に関するものであり、まずは虚血性脳卒中の治療に重点を置く。

この同意の条件では、ヘリオスは日本における虚血性脳卒中治療のためにマルチステムを開発する独占的な権利を取得する。ヘリオスは日本における製品開発・商業化を行い、アサーシスは製造済みの製品とサポートをヘリオスに提供するが、日本国外での全権利を引き続き保持する。さらにヘリオスは、現在アサーシスが米国及び英国で臨床開発中の急性呼吸窮迫症候群 (「ARDS」) の治療及び整形外科分野の適応症の2件のマルチステム臨床的適応の開発において、日本での独占的オプションも取得する。ヘリオスでは同社独自の「器官原基 (臓器の芽)」テクノロジーを開発・商業化するためにアサーシスのテクノロジーを組み入れる独占的権利も取得する。当初は肝臓疾患あるいは肝不全の治療のための移植用であるが、オプション行使後にこの用途が拡大される可能性がある。

北海道大学医学部の脳神経外科科長・教授であり、北海道大学病院の院長でもある寳金清博博士は次のように語っている。「脳卒中は、日本でも世界中でも大きな問題となっています。tPA、機械的血栓除去など現在使用可能な治療は脳卒中発症後数時間以内に実施する必要があるため、ごく一部の患者さんしか処置できず、また、このような介入にはリスクも伴います。米国と英国でアサーシスが行った国際治験によりますと、脳卒中発症から36時間以内でのマルチステムの静脈投与は安全性、忍容性に優れ、効果的かつ有益な治療であるということが示唆されています。既製品の投与は、急性脳卒中の患者さんの治療で、単純かつ一般的な取り組みとなるかもしれません。さらに、現在の標準的な治療に間に合うように病院へ到着できなかった患者さんにも投与でき、tPAや機械的再灌流療法にプラスして投与することも可能と思われ、重度の脳卒中患者さんの予後を改善できる可能性があります。追加の治験で効能を確認できれば、この療法が脳卒中治療の標準療法になる可能性があります。」

ライセンスの一環として、アサーシスには1,500万ドル (約17億7,300万円) の初期ライセンス料金が支払われ、また、特定の開発目標や一定の販売マイルストーン実現を含めた商業化目標が達成されると、マイルストーンやロイヤルティに対する支払も行われる。脳卒中に対する開発及び承認のマイルストーンは総計3,000万ドル (約35億4,600万円) にのぼる可能性があり、さらに販売マイルストーンでは商業化に成功し、日本において脳卒中治療用の認可済み製品の多額の売上が実現できれば1億8,500万ドル (約218億6,700万円) にのぼる可能性がある。またアサーシスでは製品の売上で最大10台後半になる二桁の累進型ロイヤルティの支払も受け、製造供給契約にもとづく償還を条件としてヘリオスに製造済み製品を提供する。これに加えて、アサーシスが実施中のARDSの治験が成功し、ヘリオスがパートナーシップの拡張を希望する場合は、アサーシスは日本でさらに2つの適応症への独占権利に対してライセンス拡張料金1,000万ドル (約11億8,200万円) の支払を受け、特定の開発及び商業化目標を達成した場合には更なるマイルストーンが実現できる可能性もある。拡張したアライアンスの一部として、ヘリオスはこの他の器官原基適応症にもアサーシスのテクノロジーを組み入れる権利を取得する。

日本は現在、バイオ医薬品処方の市場規模で世界第2位になっている。また、日本ではかつてない急激な高齢化という人口構成の変化が進み、今後数十年間で全国の医療制度に大きな課題をもたらしていくと予想されている。この高齢化による医療リソースの需要増大の課題に応えるために、過去2年間で日本の政策設定者は規制枠組を緩和し、安全性が実証され効果が有望と見込まれる画期的な新療法の開発促進に注目している。画期的な再生医療療法の開発を特に促進するために最近導入されたこれらの規制改革では、アンメットメディカルニーズ (まだ満たされていない医療的ニーズ) のある患者のために、有望な新薬開発をスピードアップすることを目的としている。

アサーシス独自の細胞療法製品マルチステムは、米国及び英国で虚血性脳卒中の第II相治験で評価済みである。また、ARDS、心筋梗塞、臓器移植サポート (移植片対宿主病予防、肝移植サポートを含む) を含めたその他いくつかの適応症に対しても現在臨床開発中である。アサーシスでは日本における臨床開発の準備を開始し、医薬品医療機器総合機構 (PMDA) との折衝も行っている。ヘリオスとアサーシスはすでにPMDAとの共同会議を行い、日本で脳卒中の治験を開始するための追加準備を行い、2016年下半期に治験を開始する予定である。

ヘリオスの代表取締役社長、鍵本忠尚 (Tadahisa “Hardy” Kagimoto) は次のように語っている。「日本でマルチステムを開発・販売するためにアサーシスとの独占ライセンス契約を結ぶことができたことを大変喜んでおります。マルチステムは、すでに米国及び英国で第II相治験が行われた画期的な細胞療法のための医薬品候補です。虚血性脳卒中の治療開始までの許容時間を延長できるマルチステムに対する市場のニーズは大きなものであると考えられます。日本の新しい再生医療枠組み内でこの製品の開発に成功すれば、ヘリオスが患者さんを助け、運営上の収益を実現し、株主様に大きな価値をもたらす能力を促進できると考えられます。脳卒中以外でも、アサーシスのテクノロジーは臨床移植プログラムのプラットフォームとして臓器を準備する際も、生産効率を改善してくれると期待されています。簡単に申し上げれば、ヘリオスは、iPSCベースの再生医療製品の分野で商業化をスピードアップさせてくれる触媒を入手したことになります。」

ヘリオスは日本の再生医療企業のリーダー的地位にあり、加齢黄斑変性 (「AMD」) 治療用の、iPS細胞から作製したRPE細胞を含めたテクノロジー・ポートフォリオを有している。ヘリオスは2013年にAMDの画期的治療を開発するために理化学研究所からテクノロジーのライセンスを取得した。またヘリオスでは、臓器移植の適応症のために器官原器の開発に関連する追加のテクノロジーのライセンスを横浜市立大学から取得した。ヘリオスは大日本住友製薬株式会社、澁谷工業株式会社 (日本のロボットシステムにおけるリーダー的地位にある企業)、株式会社ニコン、大阪大学とのパートナーシップも結び、再生医療治療のための高度な製造能力の共同開発にも努めている。

アサーシスの会長・CEO、ギル・ファン・ボッケレン (Gil Van Bokkelen) 博士は次のように語っている。「アサーシスでは、日本におけるマルチステムの開発においてヘリオスと協力できることをとても嬉しく思っています。まずは虚血性脳卒中の患者さんの治療に注力します。ヘリオスの経験豊かで実績のあるリーダーシップ・チームは、再生医療分野の重要性と医学を変貌させる可能性を認識しています。また同社では、焦点を絞り効率的な方法で重要な適応症分野において協力する可能性も含めたコラボレーションについての魅力的なビジョンも持っています。当社の新しいパートナーとしてヘリオスを選択したのはこのためです。同社の経営は安定しており、優れたパートナー組織や協力会社、日本の新しい規制枠組みに基づく迅速で効率の良い開発に対するコミットメントという、成功のための主要な要素も備えています。」

虚血性脳卒中について

脳卒中は主要な死因の一つであり、多くの脳卒中患者のQOLを著しく低下させることから、臨床的ニーズが特に高い疾患である。現在、世界での脳卒中患者数は1,500万人以上にのぼり、米国、欧州、そして日本の脳卒中患者は毎年合計200万人以上にのぼる。虚血性脳卒中は脳卒中の中で最もよく見られる病態であり、脳内の血流が遮断されることで引き起こされる。酸素や栄養が脳に供給されないため、組織の壊死や神経系のダメージを来たすだけでなく、長期間または永続的な障がいを招くことがある。虚血性脳卒中患者のための治療オプションは残念ながら現在限られており、唯一の治療である血栓溶解薬tPAの投与あるいは機械的再灌流療法によって血栓を除去するための外科的介入は、脳卒中発症後数時間以内に行う必要がある。このように治療機会の時間が限られているため、現在使用可能な療法で治療を受けられる脳卒中患者は少なく、ほとんどは補助的もしくは緩和ケアのみを受けている。多くの患者は長期入院、長期の理学療法やリハビリ (患者がこのようなプログラムに参加できるのであれば) を必要としており、また多くは長期にわたる施設や家族による介護を必要とするため、長期間にわたる経済的負担が深刻である。

マルチステムについて

マルチステム (MultiStem) 細胞療法は、再生医療の特許医薬品であり、本製品による細胞治療ではこれまでに組織の修復機能や、炎症や組織の損傷のシグナルに反応して生じる治療ファクターの産生を通した治療など、さまざまな方式で修復を促すことが示されている。その多方面からのアプローチという点で、一つの効能メカニズムに特化した従来のバイオ医薬品による治療と差別化できる可能性がある。同製品は独自の「既製」の幹細胞製品であり、製造規模の縮小・拡大が可能であり、冷凍状態で多年にわたる保管が可能で、組織適合検査や免疫抑制なしで投与できる。前臨床及び臨床試験で実証された有効性プロファイルや新しい作用機序、そして良好で一貫した安全性プロファイルから、マルチステムによる細胞治療は、重篤な疾病や病状にある患者さんのアンメットメディカルニーズに応える有意義な利益をもたらすことが期待される。アサーシスでは、マルチステムによる細胞治療において、神経、心血管、炎症、免疫不全などの疾患領域のさまざまな適応症に向けた開発を目指し、戦略的提携や幅広いネットワークでの協業体制を構築している。

アサーシス社 (Athersys, Inc.) について

アサーシスは、人々の寿命を延ばし、QOLを向上させる治療薬候補品の探索や開発に注力する国際的なバイオテクノロジー企業である。同社で開発中のMultiStem細胞療法製品は、特許取得済みの成人由来の「既製」の幹細胞製品である。現在、マルチステムを活用した複数の治験が進行中であり、心血管、神経、炎症、免疫系などの疾患領域における適応症を対象として、細胞治療製品としての本製品の評価が行われている。アサーシスでは、そのプラットフォームや製品のさらなる発展に向け、大手製薬企業やバイオテクノロジー企業だけでなく、世界的に有名な研究機関と戦略的提携や連携を構築している。詳細については、www.athersys.comを参照のこと。

株式会社ヘリオスについて

 

 ヘリオスは、再生医療のためのiPS細胞を基盤とする製品開発分野をリードするバイオテクノロジーのベンチャー企業である。2011年に設立され、2015年に上場した (東京証券取引所マザーズ: 4593)。日本においては、大日本住友製薬株式会社と共同で加齢黄斑変性症 (難治性の眼病) の治療のための製品を開発中であり、2020年に製造・販売の承認を得る計画である。眼科以外の分野では、同社は横浜市立大学と共同で機能的ヒト臓器 (3次元の臓器) を作り出すことのできる再生医療用製品の開発を開始した。同社は、世界的な「高齢化社会」という大きな問題のソリューションとして再生医療製品を提供している。詳細は、ウェブサイト (https://www.healios.co.jp/)を参照。

アサーシスの将来の見通しに関する記述

本プレスリリースには、1995年米国証券民事訴訟改革法 (Private Securities Litigation Reform Act of 1995) の意義の範囲内における、リスクや不確実性を伴う将来の見通しに関する記述が含まれている。これらの将来の見通しに関する記述は、当社の製品候補、成長戦略、今後の財務成績 (当社の運営、経済実績、財務状況、展望その他の将来の事象を含む) などやその他の事項に関するものである。当社では、このような今後の見通しに関する記述を「予想する」、「考える」、「可能である」、「継続する」、「可能性がある」、「推定する」、「予測する」、「予定する」、「かもしれない」、「計画する」、「潜在的」、「おそらく」、「示唆する」、「将来行う」、その他の類似した表現を使って識別することを試みた。これらの将来の見通しに関する記述は予想に過ぎず、概して当社の現在の予想に基づくものである。これらの記述の正確性は、複数の既知及び未知のリスク、不確実性、その他の要因から影響を受ける可能性がある。当社のこれらの重要な既知のリスクのうち、今後の見通しに関する記述で示唆されているリスクで、実際の結果が大きく異なることになる可能性のある事項には、ヒト用の治療薬 (脳卒中、急性呼吸窮迫症候群、その他の適応症の治療のためのマルチステムを含む) として使用するために安全かつ有効な製品の発見、開発、商業化のプロセスに存在するリスクや不確実性 (市場が当社の製品候補を受け入れるかどうか、当社が収益を上げるための能力) などが含まれている。これらのリスクは、当社の実際の結果、活動レベル、成績、達成事項が、これらの将来の見通しに関する記述で明示あるいは示唆されている将来の結果、活動レベル、成績、達成事項から大きく異なる原因となることがある。当社の将来の見通しに関する記述を評価する際に検討すべき重要な要素には、以下のようなものが含まれる: ヘリオスとの協力の成功 (マイルストーンを実現し、マイルストーンの支払を受ける当社の能力、ヘリオスがパートナーシップの拡張を行うかどうか、製品開発に成功し販売され当社がロイヤルティ支払いを受けることになるかどうかを含む); 当社が追加資本を得る能力; 当社のマルチステム治験の最終結果; 開発過程の遅延、望ましくない結果、過剰なコスト; 当社の治験を順調に開始及び完了する能力; 社外の市場要因の変化; 当社の業界全体の成績の変化; 当社の事業戦略の変更; 当社の知的財産ポートフォリオを保護する能力; 製薬会社及びその他のバイオテクノロジー会社と当社との協力で商業的に貴重な発見を実現することができない可能性; 協力契約の条件に準じて協力相手がその義務を継続して履行する能力; 新しい戦略的パートナーシップを結び当社のプログラムを進行させていくための当社の努力の成功; 当社の業界の変化あるいは全般的な経済の変化のために当社の戦略を実行することができない可能性; サプライヤーの生産性や信頼性の変化; 当社の競合会社の成功及び新しい競合会社の出現。本プレスリリースに含まれている将来の見通しに関する記述に過度に依存すべきではなく、当社では新情報、将来の事象やその他の事由により将来の見通しに関する記述を公的に更新する義務を負わない。


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アサーシス社                                                            株式会社ヘリオス

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