CEPI、ニパウィルスのワクチン開発に向けて、プロフェクタス・バイオサイエンスおよびエマージェント・バイオソリューションと、2,500万ドル (約27億円) の契約を締結


日 オスロ (ノルウェー)、ボルティモアおよびメリーランド州ゲイサーズバーグ発, May 28, 2018 (GLOBE NEWSWIRE) -- CEPI (伝染病蔓延対策の革新のための連合、Coalition for Epidemic Preparedness Innovations) は本日、プロフェクタス・バイオサイエンス (Profectus BioSciences, Inc.) およびエマージェント・バイオソリューション (Emergent BioSolutions Inc.、NYSE:EBS) との協力を発表した。この協力では、コウモリを介してヒトや家畜が感染することがあるニパウィルス (NiV) のワクチンの開発・製造を進めるために、プロフェクタスとエマージェントが最大2,500万ドル (約27億円) の給付を受ける。

3者間の協力のためのフレームワークパートナー契約の規定に基づき、プロフェクタスはニパウィルスのワクチンを進歩させるためにCEPIから開発資金の提供を受け、エマージェントはCEPIが出資するプログラムの技術・製造サポートを提供する。エマージェントは、プロフェクタスとの別契約により、プロフェクタスからニパウィルスワクチンの開発活動のライセンスの取得とその管理を引き受ける独占的オプションを持っている。国際的非営利団体であるPATHも、CEPIとの別契約に基づき同連合と協力して臨床開発を行う。

ニパウイルスおよびヘンドラウイルス (HeV) は、様々な動物宿主およびヒトにおいて呼吸器疾患および脳炎の原因となる、緊密な関連性を持つパラミクソウイルスである。これらのウイルスの天然の宿主は、東南アジアとマレーシアに生息するオオコウモリ (プテロプス属のコウモリ) である。ヒト感染は、感染した馬、ブタ、コウモリの組織や分泌物に直接接触したことから生じる。現在のところ、NiVまたはHeVのいずれも、承認済みのワクチンや治療薬はない。ヒトの症例における第一治療は集中的支持療法であり、死亡率は症例の約75%と高い。

インド南部のケララ州では現在ニパウイルスが流行中で10人が死亡している。これらは、ケララ州で初めて記録された症例である。

これまで知られていなかった1999年のNiV流行では、マレーシアで105人が死亡した。さらに、ウイルスの蔓延を阻むために100万頭を超えるブタが屠殺されたため、多額の貿易損失と市場の混乱が生じた。バングラデシュでは毎年流行し、インドでも多数報告されている (CDC)。NiVの死亡率は75%である1。NiVは東南アジアとマレーシアのコウモリによって拡散され、コウモリの尿、果実に付着した唾液、感染した馬や豚を介してヒトが感染する。また、人から人に伝染することもある。

CEPIのCEOであるリチャード・ハチェ​​ット博士 (Dr. Richard Hatchett) は次のように述べている。

「インド政府はCEPIの創設者の一員ですが、現在のニパの流行は、二パが既に数千キロメートルも拡散している致命的な病原体であり、深刻な流行の可能性と、私たちを急襲する潜在性持っていることを示しています。本件は二パのワクチンを開発するために締結した初めての出資契約であり、プロフェクタス、エマージェント、PATHとのパートナーシップは、この壊滅的疾病に対する世界的な取り組みを進めるために不可欠です。」

最大2,500万ドル (約27億円) の投資は、ワクチン開発のための資金提供における革新的なアプローチであり、研究開発の潜在性を引き出し、流行中にワクチンの有効性についての調査を行えるようにするものである。この契約では、5年間にわたる開発の取り組みに対する資金提供を実現する。

プロフェクタス・バイオサイエンスの会長兼CEOであるトマス・リンチ (Thomas Lynch) は次のように述べている。

「プロフェクタスでは、CEPIのリーダーシップとこの戦略的コラボレーションの資金提供に感謝しています。新たに出現中のニパウイルスの脅威に対応できるワクチンを迅速に生産できるように取り組んでいきます。ニパのヒトからヒトへの伝染が確認されており、当初は流行が小規模であっても、最近のエボラ流行と同じ経路をたどる可能性があります。この壊滅的な疾患から世界中の患者を救うために、CEPIの支援および、高い評価を得ている世界的な医療イノベーションパートナーの才能を活かし、当社の専門知識と技術を適用し、エマージェントとのパートナーシップを活用して、IND前の二パウィルスのワクチン候補を迅速に進めていきます。」

エマージェント・バイオソリューションのCEOであるダニエル・J・アブダン・ナビ (Daniel J. Abdun-Nabi) は次のように述べている。

「エマージェントでは、特に新しい流行に対して迅速な対応が必要な場合に、特定済みの病原体に対して救命目的での医学的対策を提供するため、政府や業界パートナーとの20年間の成功実績を持っています。公衆衛生上の緊急時に生産量急増を実現するように設計されている、米国政府からの指定を受けた当社の先進開発・製造革新センター (Center for Innovation in Advanced Development and Manufacturing) を含めた高度な開発・製造ノウハウを駆使することを楽しみにしています。プロフェクタスと緊密に協力して、CEPIとの協力の成功に相乗的かつ補完的な能力を提供できることを期待しています。」

PATHの社長兼CEOであるスティーブ・デイビス (Steve Davis) は、PATHとCEPIのパートナーシップについて次のように述べている。
「PATHは、CEPIとのパートナーシップを結び、当社のワクチン革新・アクセスセンター (Center for Vaccine Innovation and Access: CVIA) のエンドツーエンド能力および、特に臨床開発と、リソースの少ない環境で新しいワクチンの導入規模を拡大することにおける成功の実績を活用していくことを大変うれしく思っています。PATHはCEPIと協力して、これらの致命的な脅威から人々を守るための新しいツールを世界に提供することで、流行予防策という共通目標を達成するのを楽しみにしています。」
二パワクチンの開発について
開発中のワクチンは、15年以上前に米国軍保健科学大学 (Uniformed Services University of the Health Sciences: USU) のクリストファー・ブローダー博士 (Dr. Christopher Broder) とキャサリン・ボサート博士 (Dr. Katharine Bossart) によって開発が開始されたニパウイルス及びヘンドラウィルスのテクノロジーに基づいている。このワクチンは複数の前臨床モデルで試験され、ヘンリー・M・ジャクソン軍事医学振興財団 (Henry M. Jackson Foundation for the Advancement of Military Medicine: HJF) によって、ヒト用ワクチン開発のためにプロフェクタス・バイオサイエンスにライセンスが提供されている。ブローダー博士は、プロフェクタス・バイオサイエンスのアントニー・ディミトロフ博士 (Dr. Antony Dimitrov) と協力して、米国国立衛生研究所 (National Institutes of Health) から資金援助を受けてヒト用ワクチンの開発に取り組み始めた。ニパワクチン開発の次のステップとして、テキサス大学医学部 (The University of Texas Medical Branch) のガルベストン国立研究所 (Galveston National Laboratory: GNL) の微生物学・免疫学部 (Department of Microbiology and Immunology) の教授であるトマス・ガイスバート博士 (Dr. Thomas Geisbert) が、バイオセーフティレベル4の施設において免疫相関関係の研究を実施する。HJF、USU、プロフェクタスは、抗ニパウィルスのワクチンに対する反応を評価するための臨床アッセイの開発の協力を行う。PATHは、二パワクチン候補の臨床開発を担当している。

ブローダー博士は次のように述べている。「ニパおよび、ニパと密接な関係を持つヘンドラウイルスに対するこのワクチン技術の成功に基づき、ここで開発される二パワクチンは、ヘンドラウイルスに対しても作用する可能性が極めて高いと考えられます。」

CEPIについて
CEPIは、将来の流行を防止するためのワクチンを開発するために、ダボスで2017年に設立された公的機関、民間機関、慈善機関および市民団体の間での革新的なパートナーシップである。これまでに、CEPIはノルウェー、ドイツ、日本、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 (Bill & Melinda Gates Foundation) およびウェルカム (Wellcome) から、数年にわたる資金援助を受けている。またCEPIはオーストラリア、ベルギー、カナダの各国政府からも1年間の投資を受けている。10億ドル (約1,100憶円) の資金調達目標のうち、6億3,000万ドル (約700億円) の調達を実現している。欧州委員会では、EC機構を通じて関連プロジェクトを支援する2億5,000万ユーロ (約320億円) の現物寄付を発表した。2017年1月の発足以来、CEPIは2件の提案要請を発表した。最初の要請は、MERS-COV、二パおよびラッサウイルスに対するワクチン候補であった。2番目の要請は、未知の病原体に対する迅速なワクチン開発に使用できるプラットフォームの開発であった。
プロフェクタス・バイオサイエンスについて
プロフェクタス・バイオサイエンス (Profectus BioSciences、Inc.) は、感染症および関連する癌の予防および治療のための新規ワクチンの開発に携わる、臨床段階のワクチンプラットフォームに従事する企業である。プロフェクタスのワクチンは、エボラ、マールブルク、チクングニヤ、ジカ、ウマ脳炎ウイルス、および呼吸器合胞体ウイルスなど、公衆衛生およびバイオディフェンスとしての重要性の高い感染症に対する保護を提供する、同社独自のワクチンデリバリープラットフォームに基づいている。また、B型肝炎ウイルス (HBV)、ヒトパピローマウイルス (HPV)、単純ヘルペスウイルス2型 (HSV-2) およびヒト免疫不全ウイルス (HIV) に関連するウイルス感染細胞および癌も治療の標的としている。詳しくは、www.profectusbiosciences.comを閲覧されたい。
エマージング・バイオソリューションについて
エマージング・バイオソリューション (Emergent BioSolutions Inc.) は、偶発的、意図的、および自然発生の公衆衛生上の脅威から民間人や軍人を守るための専門的製品を提供することに特化し、人命の保護や生活の改善を目指すグローバルな生命科学企業である。同社の取り組みを通じて、2025年までに同社の製品で5,000万人の命を守り、改善することを目指している。同社について詳しくは、www.emergentbiosolutions.comを閲覧されたい。Twitter @emergentbiosoluおよびInstagram @life_at_emergentで同社をフォローされたい。
PATHについて
PATHは、世界的な健康革新のリーダーである。国際的な非営利団体であるPATHは、特に女性や子供の命を救い、健康を改善している。起業家の洞察、科学と公衆衛生のノウハウ、健康の公正性に対する情熱を活用して、ワクチン、医薬品、診断薬、機器、システム、サービスの革新という5つのプラットフォームで、革新を進めている。同社は、世界中のパートナーを動員することで革新の規模を拡大し、アフリカ、アジアを中心として協力しながら健康における最大ニーズに取り組んでいる。このような協力体制により、健康状態の悪いサイクルを解決できる測定可能な結果を​​提供するよう努めている。詳しくは、www.path.orgを閲覧されたい。
米国軍保健科学大学 USU) について
1972年に国会制定法によって創立された米国軍保健科学大学 (Uniformed Services University of the Health Sciences: USU) は、軍事健康システムにおける学究の中心となっている。USUの学生は主に、熱帯病・感染症、TBI、PTSD、災害対応、人道援助、グローバルヘルス、急性外傷ケア、高度な看護実務、歯科の専門教育を受けている、陸軍、海軍、空軍、公衆衛生サービスに従事する、主に現役の制服着用の従事者である。詳しくは、www.usuhs.eduを閲覧されたい。
HJFについて
ヘンリー・M・ジャクソン軍事医学振興財団(Henry M. Jackson Foundation for the Advancement of Military Medicine: HJF) は、国会が米国軍保健科学大学および軍全体で軍事医療をサポートすることを承認した、民間の非営利組織である。HJFは、軍人及び民間人のためになる卓越した科学的プログラムを実施、管理、支援を行うことにより、軍、医療、学術、政府の顧客のために奉仕している。1983年の設立以来、HJFは軍の医療コミュニティ及びその連邦と民間のパートナーとの間の不可欠なつながりとして役立ってきた。軍の医療研究者や臨床医は、HJFの支援及び管理能力を駆使して科学的焦点を維持し、効果的かつ効率的に研究目標を達成することができる。詳しくは、www.hjf.orgを閲覧されたい。

ガルベストン国立研究所について
この前臨床試験は、重症疾患を引き起こしたり致命的である病原体を、科学者が防護服を着用して研究する、高度封入型の最先端バイオセーフティレベル4施設である、UTMBのガルベストン国立研究所 (Galveston National Laboratory: GNL) で実施される。GNLは、SARS、西ナイル脳炎、エボラ、鳥インフルエンザのような自然発生の新疾病、ならびにテロリストが使用する可能性のある微生物に対する治療法、ワクチンおよび診断試験を開発するために必要な研究スペースおよび特殊な研究能力を提供している。UTMBは、アメリカの大学キャンパスに所在する唯一の実働中レベル4研究所を有している。

問い合わせ先

CEPI
レイチェル・グラント (Rachel Grant)
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Rachel.Grant@cepi.net
プロフェクタス・バイオサイエンス (Profectus BioSciences, Inc.)
M2フレンド・バイオコミュニケーション (M2Friend Biocommunications)
メアリー・モイニハン (Mary Moynihan)
802-951-9600
mary@m2friend.com
エマージェント・バイオソリューション (Emergent BioSolutions Inc.)
投資家向け問い合わせ先
投資家広報担当バイスプレジデント
ロバート・G・バロウズ (Robert G. Burrows)
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KiefferL@ebsi.com

1 http://www.searo.who.int/entity/emerging_diseases/links/nipah_virus_outbreaks_sear/en/