ディーウェイブは初のビジネス向け量子コンピュータの一般発売を発表


サイズが決め手:Advantageの5000ビット超の量子ビットと15方向の量子ビット接続が、大規模なハイブリッド量子アプリケーションの量産を可能に

ブリティッシュコロンビア州バーナビー, Sept. 30, 2020 (GLOBE NEWSWIRE) -- 量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスのリーダーであるディーウェイブシステムズ(D-Wave Systems Inc.)は本日、量産中の量子コンピューティングアプリケーションの提供を可能にし、また加速する新しいハードウェア、ソフトウェア、ツールを組み込んだ、次世代量子コンピューティングプラットフォームの一般提供を発表した。Leap™量子クラウドサービスで本日から提供されるこのプラットフォームには、5000ビット超の量子ビットと15方向の量子ビット接続を備えたAdvantage™量子システムに加えて、最大100万個の変数で問題を実行できる拡張ハイブリッドソルバーサービスが含まれている。Advantageのコンピューティング能力と、Leapのハイブリッドソルバーサービスによる現実問題に対応できるスケールが組み合わさることで、企業は、パフォーマンスの高いリアルタイムのハイブリッド量子アプリケーションを実行することが初めて可能となる。

企業による本番環境の量子アプリケーション構築を可能にする取り組みの一環として、同社は、ハイブリッド量子アプリケーションの構築を今すぐ始めたいが追加サポートが必要な場合がある企業向けのジャンプスタートプログラムであるディーウェイブLaunch™を発表した。アプリケーションの専門家チームと強力なパートナーコミュニティが一体となったディーウェイブLaunchプログラムは、最適なアプリケーションを特定し、ビジネスの問題をハイブリッド量子アプリケーションに変換するサポートを提供する。この追加のサポートにより、顧客は量子加速とパフォーマンスを実現しながら、最も重要で複雑なアプリケーションの設計、構築、実行を加速することができる。

また、ディーウェイブは新たなハイブリッドソルバーも発表した。離散二次モデル(DQM)ソルバーは、開発者や企業にハイブリッド量子コンピューティングの利点を新しい問題クラスに適用する能力を提供する。DQMソルバーは、バイナリ変数(0または1)のみの問題を受け入れるのではなく、他の変数セット(例えば、1から500までの整数、または赤、黄、青)を使用することにより、量子コンピュータ上で実行できる問題の種類を拡大する。DQMソルバーは10月8日に一般公開の予定である。

Advantageシステムに裏打ちされた新しいソルバーや、よりサイズの大きい問題のサポートを活用して、メンテンAI(Menten AI)、セーブオン・フーズ(Save-On-Foods)、アクセンチュア(Accenture)、フォルクスワーゲン(Volkswagen)などの顧客やパートナーは、今日的なビジネス価値のあるソリューションを生み出すハイブリッド量子アプリケーションを構築・実行している。

  • タンパク質設計のパイオニアであるメンテンAIは、ハイブリッド量子プログラムを使ってデノボタンパク質の構造を決定するプロセスを初めて開発し、従来のソルバーを上回る非常に有望な結果を得た。メンテンAIのユニークなタンパク質設計は計算で検証され、化学的に合成されて、現在はCOVID-19に対する生ウイルス試験に進んでいる。
  • カナダ西部の食料品小売業者セーブオン・フーズは、ハイブリッド量子アルゴリズムを使用して、食料品の最適化ソリューションをビジネスに導入しており、現在店頭でのパイロット試験が進行中である。セーブオン・フーズでは、重要な最適化タスクにかかる時間を25時間から毎週わずか2分の計算に短縮することができた。時間の短縮以上に重要なのは、従来の方法では困難な多数のビジネスパラメータの間でパフォーマンスを最適化する能力である。
  • 世界的なプロフェッショナルサービスのトップ企業であるアクセンチュアは、幅広い業界に適用できるアプリケーションを開発するために、量子ソリューションや量子から着想を得たソリューション、ハイブリッドソリューションを探求している。アクセンチュアは最近、銀行顧客と一連のビジネス実験を実施して通貨アービトラージ、クレジットスコアリング、取引の最適化のための量子アプリケーションの試験を行い、コンピューティング上困難なビジネス問題を量子定式化にマッピングすることに成功し、量子化への対応を可能にした。
  • フォルクスワーゲンは、ディーウェイブのアニーリング量子コンピュータを早期に採用した企業で、ハイブリッドソルバーサービスを利用して量子のユースケースを拡大し、塗装工場のスケジューリングアプリケーションを構築した。このアルゴリズムは、車両塗装の順番を最適化するよう設計されている。ハイブリッドソルバーサービスを利用することで、色の切り替え数が大幅に削減され、パフォーマンスの向上につながる。

Advantageの量子コンピュータとLeap量子クラウドサービスには、以下が含まれる。

  • 新しいトポロジー:Advantageのトポロジーは、世界の商用量子システムの中で最も接続性が高いものとなっている。ディーウェイブ2000Q™システムでは、量子ビットは6つの別の量子ビットに接続が可能である。新しいAdvantageシステムでは、各量子ビットは15個の別の量子ビットに接続できる。2.5倍の接続性を持つAdvantageは、ディーウェイブ(D-Wave)の2000Qシステムを使用した場合と比較して、より少ない物理的な量子ビットでより大きな問題の埋め込みが可能となる。ディーウェイブOcean™ソフトウェア開発キット(SDK)には、この新しいトポロジーを使用するためのツールが含まれている。Advantageのトポロジーに関する情報はこのホワイトペーパーに、また新しいトポロジーの使用方法についての入門ビデオはここに掲載されている。
  • 量子ビット数の増加:5000超の量子ビット数を持つAdvantageは、ディーウェイブ2000Qシステムの2倍以上の量子ビット数を誇る。より多くの量子ビットと高い接続性により、量子プログラマーは、商用量子アプリケーション構築のために、より大きく高密度で、より強力なグラフにアクセスすることができる。
  • パフォーマンスの向上と問題サイズの拡大:最大100万個の変数を持つLeapのハイブリッドソルバーサービスにより、企業は大規模でビジネスクリティカルな問題を実行することができる。その結果、新しいトポロジーとAdvantageシステムの5000以上の量子ビットと相まって、量子処理装置(QPU)上で複雑な問題や2倍以上のサイズの問題を直接実行できるようになる。実際、ハイブリッドソルバーは、MQLibでテストしたアプリケーションに関連する45の入力の87%において、上位27の従来の最適化ソルバーと同等またはそれ以上のパフォーマンスを発揮した。さらに、QPUの接続性を高めることで、複雑な問題をよりコンパクトに埋め込むことができる。Advantageは、ディーウェイブ 2000Q LN QPUと比較して、場合によっては最適なソリューションを10~30倍速く見つけることが可能であり、またより質の高いソリューションを最大64%の時間で見つけだす。
  • Leapのハイブリッドソフトウェアおよびツールの拡充:ハイブリッドソルバーサービス、新たなソルバークラス、使いやすさ、自動化、新しいツールへのさらなる投資により、ビジネス規模の問題に対応したより強力なPythonでのハイブリッド高速開発環境が提供される。
  • 柔軟なアクセス:拡張ハイブリッドソルバーサービスであるAdvantageと次期DQMソルバーは、Leap量子クラウドサービスで利用可能である。現在Leapを利用中の顧客は、追加料金なしですぐにアクセスが得られる。また新規顧客はLeapの新機能と既存機能がもたらす恩恵をすべて享受できる。つまり、開発者や企業は、本番環境のハイブリッド量子アプリケーションの開発をすぐに始めることができるのである。柔軟な購入プランにより、開発者や先見性のある企業は、ディーウェイブ量子システムに、自身やそのビジネスに適した方法でアクセスすることができる。
  • 継続的なリリース:ディーウェイブは、さらなるハイブリッドソルバー、QPU、クラウドを介したソフトウェアアップデートにより、市場にイノベーションをもたらし続けている。ユーザーや顧客は、関心があればすぐにAdvantageとハイブリッドソルバーサービスを利用することが可能であり、Leapを通じて、プラットフォームの新しいコンポーネントが利用可能になり次第その恩恵を受けることができる。

ディーウェイブのCEOであるアラン・バラッツ(Alan Baratz)は、次のように述べている。「本日のAdvantageの一般提供開始は、ビジネスに特化した初の量子システムを提供するもので、ハイブリッドソルバーサービスによる本番規模の商用アプリケーションや新たな問題タイプへの拡大を示すものである。今回の発売は、顧客が利用開始するための新しいジャンプスタートプログラムと組み合わせて、ディーウェイブが長年にわたり培ってきた姿勢を継続するものである。これは大げさな話ではなくスケーリングに関するもので、実際のビジネスアプリケーションで実際のビジネス価値を実現するシステムを提供するということである。当社は量子システムを構築する科学への投資も続けている。Advantageは完全に一から作り直している。当社は、接続性とスケールについて学んだことを利用して、次世代の量子コンピュータのために、イノベーションの限界に挑戦し続ける。当社をここまで導いてくれたチームと、当社と協力して何百もの初期のアプリケーションを構築し、今ではアプリケーションを製品化している顧客やパートナーをとても誇りに思っている。」

メンテンAIの共同創業者兼CEOであるハンス・メロ(Hans Melo)は、次のように述べている。「当社は現在、量子を使ってタンパク質の設計をしている。ハイブリッド量子アプリケーションを使えば、新しいタンパク質構造を作るのに役立つ天文学的なタンパク質設計問題を解決することができる。当社は、ハイブリッド量子手順によりデノボタンパク質設計の競合する従来のソルバーよりも優れたソリューションを発見しており、非常に心強い結果を得ている。つまり、より優れたタンパク質を作り、最終的には新薬の発見が可能となる。」

「セーブオン・フーズでは、105年以上にわたり顧客にイノベーションを届けることに取り組んできた。その目標に向かって、とりわけ複雑化が進む環境では、当社は常に問題解決のための新しい創造的な方法を探し求めている」とセーブオン・フーズのデジタル・アンド・アナリティクス担当副社長のアンドリュー・ドナハー(Andrew Donaher)は述べている。また「当社は量子コンピューティングを扱い始めたばかりだが、短期間で優れた初期成果を得ている。実際のところ、Advantageとディーウェイブが提供するハイブリッドソルバーサービスを使った初期の結果は十分に有望で、当社としては、パイロット段階を本番のビジネスアプリケーションにすることを目指している。量子は当社のビジネスの潜在的な競争力として浮上している。」とも述べた。

アクセンチュアのシニア・マネージングディレクター兼テクノロジーイノベーションリードのマルク・カレル・ビリヤード(Marc Carrel-Billiard)は、次のように述べている。「アクセンチュアは、関連するユースケースを掘り起こし、すぐにビジネス実験を行うことで、顧客が主流となる量子コンピューティングの到来に備えるための支援に取り組んでいる。当社は数年前からディーウェイブと連携して、Advantageシステムとハイブリッドソルバーサービスへの早期アクセスにより、パフォーマンスの向上とプラットフォームの進化を実感してきた。これは、幅広い業界のクライアントのために量子を実現し、新たな競争優位性の源泉を生み出すための重要なステップである。」

フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカ(Volkswagen Group of America)の先進技術担当ディレクター、フロリアン・ノイカート(Florian Neukart)は、次のように述べている。「量子コンピューティングを取り入れることは、フォルクスワーゲンにとって新しいことではない。昨年11月にリスボンでのバスのルーティング・アプリケーションで、ハイブリッド量子アプリケーションを本番で初めて実行した。フォルクスワーゲンでは、企業という文脈の中で、量子コンピューティングの有意義な応用について深い理解を構築することに注力している。ディーウェイブのシステムは、多数の変数を伴う最適化タスクを驚くべきスピードで処理する機会を与えてくれる。これにより当社では、日常的なビジネス利用に適した量子アプリケーションに向けたさらなる措置を進めている。」

ディーウェイブシステムズ(D-Wave Systems Inc.)について

ディーウェイブは、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスを開発、提供するトップ企業で、世界で初めて商用量子コンピュータを提供したサプライヤーである。量子コンピューティングの能力を世界的に広めることを使命としている。使命遂行に向けて、ロジスティクス、人工知能、材料科学、創薬、サイバーセキュリティ、故障検出、財務モデリングなど多様な問題に対処する実用的な量子アプリケーションを通じて、顧客に価値を提供している。ディーウェイブのシステムは、NEC、フォルクスワーゲン、デンソー、ロッキードマーチン(Lockheed Martin)、USRA、USC、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)など、世界で最も先進的な組織に採用されている。ディーウェイブは、カナダのバンクーバーに本社を置くほか、カリフォルニア州パロアルトおよびワシントン州ベルビューを拠点として、米国で事業を展開している。ディーウェイブは、公務員年金投資委員会(PSP Investments)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、BDCキャピタル(BDC Capital)、日本電気、In-Q-Telの優良投資基盤を擁する。詳しくは、こちらを閲覧されたい。www.dwavesys.com

問い合わせ先

D-Wave Systems Inc.

dwave@launchsquad.com


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