心房細動の中国人の患者で抗凝固剤を処方されているのは26%未満であり、また、日本のがん患者の3分の1近くは、十分な治療を受けていない
中国のがん患者の約63%が最初に診断を受けてから6ヶ月以内に静脈血栓塞栓症を発症
アベラシマブはすでに北米、欧州、アジア太平洋地域のその他の諸国の、23ヶ国で試験中
マサチューセッツ州ケンブリッジ発, June 09, 2023 (GLOBE NEWSWIRE) -- 臨床段階のバイオテクノロジー企業であるアンソス・セラピューティクスは本日、同社の治験薬アベラシマブの治験について、中国と日本における2つの重要な規制上のマイルストーン達成を発表した。アベラシマブは、第XI因子および第XIa因子を阻害することにより、止血作用に影響しない抗凝固作用を有効に発揮する新規の高選択性二重作用完全ヒトモノクローナル抗体である。
中国では、アンソスのがん関連血栓症臨床試験プログラムを構成するASTERおよびMAGNOLIAの第3相臨床試験に関連して、中国国家薬品監督管理局(NMPA)からアベラシマブの試験の承認を得ている。また、抗凝固剤の無効性が判断された心房細動患者を対象に、アベラシマブの第3相LILAC-TIMI 76臨床試験を開始する承認を得ている。
日本では、医薬品医療機器総合機構 (PMDA) が、現在の抗凝固剤が不適な心房細動 (AF) 患者を対象に、アベラシマブを検討する第3相LILAC-TIMI 76治験の開始も承認した。アベラシマブは、日本ではすでにがん関連性血栓症 (CAT) 患者を対象とした試験を実施中である。
非弁膜症性心房細動に関しては、他の人種・民族に比べ、多くの中国人患者が脳卒中を発症している。1にもかかわらず、2018年の中国の調査によると、非弁膜症性心房細動の患者で抗凝固剤を処方されたのは26%に満たない。1CATの影響を調査した別の後向き研究によると、がん患者の63%が診断から6ヶ月以内に、がん患者死因の上位を占める静脈血栓塞栓症(VTE)を発症している。2
心房細動の有病率は、過去20年間に世界で33%増加し、その結果、世界で約3,800万人がその負担を強いられている。3 日本だけでも症例数は100万人を超えると予想されている。4 さらに、日本の登録制度では、心房細動患者の約3分の1は現在抗凝固剤の投与量が不十分であると報告している。2
アンソス・セラピューティクスの最高技術・規制責任者であるニック・メータ博士 (Nik Mehta, Ph.D) は次のように述べている。「中国および日本で見られる悲惨な証拠は、心房細動とがん関連性血栓症の世界的な負担に国境がないことを明確に示しており、これらのアンメットニーズに対応できるより高度な治療法の必要性は緊迫しています。台湾、韓国、オーストラリアなどアジア太平洋地域の他の国々を含む世界中の規制当局から好意的な反応を受け、アベラシマブを研究する革新的な治験で既に患者さんを組み入れており、中国と日本での治験承認はそれに続くものです。」
アンソス・セラピューティクスの最高医療責任者であるダン・ブルームフィールド (Dan Bloomfield) は次のように述べている。「アンソス・セラピューティクスのビジョンは、現在の治療法では十分に対応できていない疾患領域に、命を守る治療法を提供することです。弊社のアベラシマブを用いた第XI/XIa因子プログラムは、抗凝固剤が不適とされている心房細動患者さんや、急性血栓事象を呈するがん患者さんへの十分な対応を可能にすると確信しています。第XI因子阻害剤が止血と血栓症を切り離す可能性を示したことは極めて心強いことです。これは、将来的な患者治療法のパラダイムが大きく変化したことを意味します。」
米国では、アベラシマブは2022年7月に、がんに伴う血栓症の治療薬として、FDAから最初のファストトラック指定を受けた。2022年9月には、アベラシマブは心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防のための、2件目のファストトラック指定を受けた。アベラシマブは治験薬であり、どの国でも適応症として承認されていない。
LILAC-TIMI 76第3相試験について
LILAC-TIMI 76試験は、現在利用可能な抗凝固療法が不適と判断された心房細動 (AF) 患者を対象に、虚血性脳卒中または全身性塞栓症の発生率に対するアベラシマブの有効性と安全性をプラセボと比較して評価する、イベントドリブンの無作為化プラセボ対照二重盲検、並行群間比較試験である。本試験では、アベラシマブ150 mg SCまたはマッチしたプラセボを月1回投与する群に患者を無作為に割り付けている。本試験は、北米、欧州、中南米、アジアの300以上の施設で約1,900人の患者を組み入れることを目標としている。アベラシマブは、2022年9月に心房細動患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防のために、FDAのファストトラック指定を受けた。
AZALEA-TIMI 71第2相試験について
AZALEA-TIMI 71試験は、脳卒中のリスクが中程度または高い心房細動 (AF) 患者において、非盲検のリバーロキサバンと比較したアベラシマブの2つの盲検用量の効果が、大出血事象または臨床的に関連性のある非大出血 (CRNM) 事象の発生率に及ぼす影響を検討する、イベントドリブンの無作為化実薬対照評価項目盲目化、並行群間比較試験である。このイベントドリブン試験は2021年12月に組入を完了し、米国、カナダ、欧州の一部、アジアを含む世界95ヶ所の試験施設で1,287名の患者で現在も継続して実施されている。
がん関連性血栓症 (CAT) に対するアベラシマブ第3相プログラムについて
アベラシマブの第3相CATプログラムは、23ヶ国以上の220施設で約2,700人の患者の登録を目標とする2つの補完的な試験で構成され、がん関連性血栓症で実施される抗凝固薬としては最大のプログラムである。アベラシマブは、2022年7月にがん関連性血栓症の治療薬としてFDAのファストトラック指定を受けた。
MAGNOLIAは、DOAC治療が推奨されない消化器 (Gi)/泌尿生殖器 (GU) がん患者を対象とした国際多施設共同無作為化非盲検・評価項目盲目化第3相試験である。本試験では、切除不能な局所・領域浸潤性GI/GU腫瘍で出血リスクが高いがん関連性VTE患者を対象に、VTE再発および出血に対するアベラシマブの効果をダルテパリンと比較検討する予定である。アベラシマブ150 mgを1日目に静脈内投与し、その後最長6ヶ月まで毎月皮下投与し、ダルテパリンは毎日、最初の1ヶ月は200 IU/kg/日を皮下投与し、その後最長6ヶ月まで150 IU/kg/日を投与する。本試験の募集は2022年8月に開始された。
ASTERは、DOAC治療が推奨されるがん関連性VTE患者において、静脈血栓塞栓症 (VTE) の再発および出血に対するアベラシマブの効果をアピキサバンと比較する、国際多施設共同無作為化非盲検・評価項目盲目化第3相試験である。アベラシマブ150 mgを1日目に静脈内投与し、その後最長6ヶ月まで毎月皮下投与し、アピキサバンは最初の7日間は10 mgを1日2回経口投与し、その後最長6ヶ月まで5 mgを1日2回投与する。
アベラシマブについて
アベラシマブは、第XI因子を阻害することにより、止血作用に影響しない抗凝固作用を有効に発揮する、新規の高選択性完全ヒトモノクローナル抗体である。アベラシマブは、第XI因子の活性ドメインを標的とし、第XI因子とその活性化型である第XIa因子の両方に対して二重阻害活性を示す。第XI因子阻害剤は、血栓症と止血を切り離すことで、患者が抗凝固剤による保護の恩恵を受ける道を開く可能性がある。アベラシマブは、心房細動患者において慢性的にほぼ完全な阻害を維持するために、毎月皮下投与 (SC) される予定である。また、即効性を必要とする急性期には、初回に静脈内 (IV) への点滴を行い、その後、毎月1回皮下注射を行う予定である。PK/PD試験において、アベラシマブの静脈内投与は、治療開始後1時間以内に第XI因子を顕著に抑制し、最長で30日間にわたり、ほぼ最大限の抑制を維持した。52021年にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン (New England Journal of Medicine) 誌に結果が掲載された第2相試験では、膝関節手術後にアベラシマブを単回静脈内投与すると、エノキサパリンと比較して手術10日後の測定で静脈血栓塞栓症の発生率が80%減少した。6第XI因子阻害は、動脈および静脈血栓塞栓イベントの予防と治療において止血作用に影響しない抗凝固剤として期待できる。7
アンソス・セラピューティクスについて
アンソス・セラピューティクスは、心血管・代謝疾患 (CVM) を患う人々のケアを向上させるため、遺伝子および薬理学的に検証された革新的な治療法の開発および商業化に焦点を絞っている、臨床段階のバイオ医薬品企業である。アンソス・セラピューティクスは、バイオテクノロジー企業の機敏さと大手製薬会社の厳格な姿勢を併せ持つことを目指している。アンソス・セラピューティクスは、ブラックストーン・ライフサイエンス (Blackstone Life Sciences) とノバルティス (Novartis) によって2019年に創設され、ノバルティスとのライセンス契約に基づき、アベラシマブ (MAA868) の開発、製造、商業化に関するグローバル権利を獲得している。詳しくは、同社のウェブサイトを閲覧し、TwitterおよびLinkedInでフォローされたい。
将来の見通しに関する記述
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1 Sakamoto, J et al. (2019). Cancer-Associated Venous Thromboembolism in the Real World ― From the COMMAND VTE Registry ―. Circulation Journal, 83(11), 2271–2281. (https://doi.org/10.1253/circj.CJ-19-0515)
2 Wang H et al. J Can Res Ther 2019;15:344-9
3 Lippi, G., Sanchis-Gomar, F., & Cervellin, G. (2021). Global epidemiology of atrial fibrillation: An increasing epidemic and public health challenge. International journal of stroke: official journal of the International Stroke Society, 16(2), 217–221. (https://doi.org/10.1177/1747493019897870)
4 Okumura Y et al. J Arrhythmia 2017; 33: 289–296 (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5529323/)
5 Yi BA et al. J Thromb Haemost. Oct. 2021 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34714969/)
6 Verhamme P et al. New Engl J Med July 2021 (https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2105872)
7 Hsu et al. J Am Coll Cardiol. Aug. 2021 (https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0735109721053213?via%3Dihub)