産総研がQuEra 社 の中性原子量子コンピューター の導入 を決定。NVIDIA によるABCI-Q スーパーコンピューターと並列して設置予定


マサチューセッツ州ボストン , May 01, 2024 (GLOBE NEWSWIRE) -- 中性原子を用いた量子コンピューター技術において世界を牽引するQuEra Computing 社は、日本の産業技術総合研究所(AIST、以下「産総研」) と、最新鋭の量子コンピューターを納入する約65 億円(約四千百万米ドル)の契約を結んだことを本日付けで発表した。この量子コンピューターは、NVIDIA 社の技術を基盤としたABCI-Q スーパーコンピューターと並べて産総研施設内に設置される予定となっており、日本国内の量子技術の発展に寄与することが期待される。

この戦略的決定は、量子コンピューターと従来の古典コンピューターとのハイブリッドで強力な計算プラットフォームを築くことを目的とし、QuEra 社独自の量子計算技術が産総研のABCI-Q スーパーコンピューターを補強する形となる。最終的には高い忠実度(high fidelity)でのシミュレーションと量子AI 技術の応用を可能とするハイブリッド基盤となる見込みだ。

QuEra 社のゲート型中性原子量子コンピューターは、その比類なき 拡張性(scale), 忠実度(fidelity)、そして近々実現予定の 量子エラー検出・補正能力で有名だ。 中性原子コンピューターは量子計算方式の中でも大規模かつエラー耐性の強い(fault-tolerant)量子コンピューターの実現につながる方式として特に有望視されている。 QuEra 社は 中性原子コンピューターの市場を先駆けており、 柔軟かつ効率的な量子計算を可能とするQubit shuttling と呼ばれる動的な量子ビットの操作法を提供している。QuEra 社のコンピューターは常温で動作し、既存の計算機インフラとの統合も容易い。

このQuEra 社製コンピューターは 2025 年に産総研にて実地導入されることが計画されている。QuEra 社は2022 年11 月から256 量子ビット製の第一世代量子コンピューターを運営し、大規模クラウドサービスを通して全世界から高度な量子計算能力へのアクセスを提供しており、量子コンピューターのオペレーションで高い技術を持つ。QuEra 社は最近、英国全土の国家量子プログラムのテストベッドを開発、納入する契約も結んでいる。

産総研のNVIDIA社製ABCI-Qは、量子計算技術を用いて性能を引き出すことによって大規模な高忠実度量子シミュレーションを可能とするスーパーコンピューターで、幅広い産業で研究に活用できる。この 高性能かつ拡張可能なシステムは、オープンソースのハイブリッド量子計算プラットフォームであるNVIDIA CUDA-Qと統合されており、二千台以上ものNVIDIA H100 Tensor Core GPUから成る500以上のノードがNVIDIA Quantum-2 InfiniBandによって相互接続されたスーパーコンピューターだ。また、ABCI-Qは、量子技術の発展によってAI、エネルギー、生物学などの分野の研究を進め、事業や社会における新しい機会を生み出すことを目的として掲げられた日本の量子技術イノベーション戦略(Quantum technology innovation strategy)の一部でもある。量子回路シミュレーションと量子機械学習の発展, 古典―量子ハイブリッドシステムの構築、そして量子技術に着想を得た新アルゴリズムの開発を念頭に置いたプラットフォームとなる予定だ。

QuEra社の社長(President)を務める北川拓也氏は、「産総研が我々の技術の国内導入を選んでくださったことを光栄に思います。この提携は私たちが協力して科学と技術の発展へ貢献することの象徴であり、量子技術と AI 技術の応用に重点を置いた計算機科学の利用と研究においての新しいスタンダードとなるでしょう。日本の企業や組織の方々と量子コンピューター分野の最前線で共に働けることを 私たちは嬉しく思います。」と言う。

また、「量子コンピューターと GPUスーパーコンピューティングの統合は、量子計算を用いて科学の発見を加速するという秘めた可能性を解き放つための重要なマイルストーンです。」とNVIDIA社の高性能計算・量子計算部門長ティム・コスタ氏は言った。「これに関して、QuEra社のシステムを ABCI-Qと並べて導入しCUDA-Qと統合することは、古典・量子ハイブリッド技術の最先端の応用と 量子技術の研究開発の発展を可能にする最初の飛躍を意味します。」

産総研量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT/AIST)副センター長の堀部雅弘氏は、 「QuEra社の最先端技術を我々の既存の計算インフラに加えて導入することは、日本の量子技術の戦略にとって重要な一歩です。 この提携は我々の計算能力を向上させ、AI、エネルギー、生物学といった分野の実用的応用の開発を促すでしょう。」と話した。

QuEra社について

QuEra Computing 社は、 高い可能性を持った量子計算方式として広く認知される中性原子を用いた量子コンピューターのビジネスにおいて先陣を切る。ボストン市に拠点を置き、近隣するハーバード大学とマサチューセッツ工科大学発の最新の研究に支えられる。 また、 QuEra社は主要パブリッククラウドサービスを通して利用できる世界最大のアクセス可能な量子コンピューターを運営し、量子コンピューターの実地導入も行う。大規模高エラー耐性量子コンピューターの開発を通して、古典的方法では解決が困難な問題への挑戦を試み、量子技術分野で最も選ばれるべきパートナーを目指す。 一言で表すと、“QuEra is the best way to quantum.” 更なる情報は、我々のウェブサイト を参照するか、我々のまたはをフォローしてください。

産業技術総合研究所について

産業技術総合研究所(産総研、AIST)は、東京に 本部を持つ日本国内最大級の公的研究機関である。革新的技術のシーズと製品化への応用を橋渡しし、産業と社会の福祉を高めることに尽力する。

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