中国とカナダがセメント業界のCO2回収で協力


サスカチュワン州レジャイナ発, July 09, 2021 (GLOBE NEWSWIRE) -- 中国建築材料アカデミー (China Building Materials Academy、以下「CBMA」) とカナダを拠点とするインターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Centre、以下「ナレッジセンター」) が新たにコラボレーションを開始し、世界のセメント業界で排出量を大幅に削減するために設計された二酸化炭素回収技術の理解と知識共有の両方で同時に前進を図っていく。

今回の合意の下、最初の取り組みとなるセメントキルンプロジェクトでの二酸化炭素回収パイロットでは、ナレッジセンターのモデルとテストプラットフォームのフロント・エンド・エンジニアリング・デザイン (Front End Engineering Design、以下「FEED」) を適用して、CBMAを支援していく。FEEDには、1日約155 kgの二酸化炭素 (CO2) 回収能力がある。このプロジェクトは、セメントキルンで生成された燃焼後煙道ガスを利用する二酸化炭素回収システムに基づいて構築され、試験運用される。

ナレッジセンターは、セメントキルン運用と燃焼後二酸化炭素回収システムとの統合の特性について学び、洞察を獲得するオブザーバーの役割を果たす。この合意によりナレッジセンターは、詳細設計、試験、モデリングに基づくデータ、排出ガス関連情報、CO2回収試験プラットフォームの改善などの運用データへのアクセスを付与される。

今回の協力合意は、カナダと中国の二国間の科学技術協力である中国-カナダ科学技術協力行動計画 (China-Canada Science & Technology Cooperative Action Plan) の一環である。さらにこの合意は、2030年までに炭素排出量ピークを、2060年までにカーボンニュートラルを達成する中国政府の目標と一致している。この目標に沿って、中国のセメント業界は低炭素技術の革新を加速するよう取り組んでいる。

二酸化炭素回収パイロットプラットフォームを通じて、CBMAはノウハウを商業規模の実証にまで拡張して適用することを期待されている。さらにこのノウハウは、世界最大のセメント生産者で、CBMAの親会社である中国建材股分有限公司 (China National Building Materials Ltd.、以下「CNBM」) が保有する大量の車両にも適用できる。

ナレッジセンターは現在、カナダにある有名なバウンダリーダム3号機CCS施設の商用石炭火力発電所で蓄積した大規模CCSの体験に基づく同じモデルを適用して、カナダのエドモントンにあるリーハイのセメント工場で、大規模燃焼後二酸化炭素回収システムの実現可能性調査を実施している。

引用

「インターナショナルナレッジセンターは、CBMAのCCS開発と導入を援助するパートナーとして、中国が炭素排出量ピークとカーボンニュートラルの野心的目標を達成するのを支援できることを誇りに思います。これは世界的にも有益です。」

- コンウェイ・ネルソン (Conway Nelson)、インターナショナルCCSナレッジセンター戦略および関係者関係担当VP

「セメント業界がカーボンニュートラルを達成できる唯一の方法が、二酸化炭素回収アプローチです。GHG排出量の野心的削減目標を達成するには、脱炭素化技術に向けた取り組みを継続し、CCS技術を適用して生産プロセスのさまざまな側面で二酸化炭素排出量を回収する以外にありません。」
中国建材集 周育先董事长:水泥行业要实现碳中和必然通过碳捕捉的方式,只有坚持脱碳技术路线,利用CCS术尽可能吸收生产过程中各环节排放的二氧化碳,才有可能实现深度减排目标

- チョウ・ユーシャン (Zhou Yuxian)、中国建材グループ (CNBM) 会長

追加情報

セメント関連の排出の概要

  • セメント関連製品であるコンクリートは、地球上で水の次に消費量の多い物質であり、1人あたり年間約3トンのコンクリートを消費している (コロンビア大学地球研究所 (Earth Institute, Columbia University)、「地球の現状 (State of the Planet)」)。
  • セメント業界全体の排出量は、全世界のCO2排出量の7~8%に相当する。
  • そのうち3分の2、すなわち全世界の排出量の5%は、セメント生産工程における化学反応によるもので、エネルギー効率の向上により排除することはできない。
  • 世界的なセメント需要は、2050年までに12~23%の増加が見込まれる (IEAレポート:CCUSによる業界の変革 (Transforming Industry through CCUS))
  • 最大のセメント生産国である中国は、世界全体の生産量の約55%を占め、これに続くインドの8%を大きく引き離している。
  • 中国のセメント業界は、国全体のGHG排出量に対して、年間約1.2 GtのCO2を排出していると推定される。

中国-カナダ科学技術協力行動計画

  • 中国-カナダ科学技術協力行動計画は、科学技術研究における協力の枠組みであり、共通の関心がある分野で協力活動の実施を拡大、強化し、その協力成果を経済社会的な利益のために応用することを促している。

報道関係者向けの問い合わせ先

インターナショナルCCSナレッジセンター
ジョディ・ウーラム (Jodi Woollam)
コミュニケーション&報道関係担当責任者
jwoollam@ccsknowledge.com 
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インターナショナルCCSナレッジセンター (ナレッジセンター) について: インターナショナルCCSナレッジセンター (International CCS Knowledge Centre) は、世界的なGHG排出量を削減するための大規模CCSに関するグローバルな理解と展開を推進する権限を持ち、完全統合型のバウンダリーダム3号機CCS施設および包括的な第2世代のCCS調査 (Shand CCS実現可能性調査) から得られた知識と経験に基づき、大規模CCSプロジェクトおよびCCS最適化を実施するノウハウを提供する。ナレッジセンターは、独立した取締役会の指揮の下、2016年から運営されており、BHPとSaskPowerによって設立された。詳細の参照先: https://ccsknowledge.com/

中国建材アカデミーについて: 中国建材アカデミー (China Building Materials Academy (CBMA)) は中国の産業セクター最大の国有総合研究開発設計会社で、中国最大の総合建築資材産業グループである中国国家建築材料グループ (China National Building Materials Group Corporation (CNBM)) の技術革新プラットフォームとして事業を展開している。CBMAは、国家的に重要な研究開発プログラムを多数実施し、建築材料業界の省エネと排出量削減に役立つ技術の進歩に貢献している。CBMAは多数の研究所と試験センターを擁し、セメント、コンクリート、壁材、ガラス、セラミック、耐火性および新素材などを網羅して、建築材料業界の技術革新を牽引し、標準を確立している。詳細は、http://cbma.com.cn/en/index.jspを閲覧されたい。

この発表に関する写真はこちらで入手可能: https://www.globenewswire.com/NewsRoom/AttachmentNg/84fbcfdd-0f35-4299-af06-d694a269dba0/ja


中国建築材料アカデミー (CBMA)